赤い傘

本編

雨の日が続いていた。僕は毎朝、同じバス停から通勤している。その日も例外ではなかった。
「まだバス来ないのかな...」
バス停にはいつもの顔ぶれ。中でも、一人の女性が目立っていた。彼女はいつも赤い傘を差していた。
(彼女、なんで毎日同じ傘なんだろう?)
ふと、彼女の傘に視線を落とすと、傘の柄に小さな名札が付いているのが見えた。そこには「佐々木愛」と書かれていた。
「佐々木愛...いい名前だな」
次の瞬間、バスが到着し、乗客たちが次々に乗り込んでいった。彼女もまた、その中の一人だった。

数日後、雨がやんで晴れ間が見えた。
「今日は赤い傘の女性、見ないな」
ふと、バス停のベンチに目をやると、彼女の赤い傘がそこに置かれていた。名札が風に揺れている。
(彼女、忘れ物かな?)
その晩、ニュースで一本のニュースが流れた。数日前、この近くで女性が交通事故に遭い、亡くなっていた。その女性の名前は「佐々木愛」だった。

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意味怖
影山 真夜 (Kageyama Maya)をフォローする
怖話物語
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