消える音

あらすじ

音楽家の主人公がある日、特定の音が聞こえなくなる現象に悩まされる。次第に増える消える音。その原因を探るうちに、恐ろしい秘密に辿り着く。

本編

私、田中はプロのピアニストで、音に対して敏感だった。しかし、ある日から特定の音が聞こえなくなり始めた。最初はドの音が聞こえなくなり、次にレ、そしてミ...と順に音が消えていった。

「なぜだ...?」毎日、ピアノの前で悩んだ。音楽は私の人生そのもの。でも、どんどん聞こえなくなる音。これが続けば、ピアニストとしての未来はない。

(何が原因なんだろう?)

専門の医師に相談したが、耳の異常は見つからない。心理的なものかもしれないと言われたが、納得がいかない。

ある晩、私は夢を見た。そこには、見たこともない不気味な場所があり、そこで耳を塞がれるような大きな音が響いていた。目が覚めた時、私は不安でいっぱいだった。

翌日、ピアノを弾いていると、いつもとは違う感覚があった。音が消えるのではなく、音が私を避けているような...。まるで、私を拒絶しているかのように。

(これは...何かの呪いか?)

そこで、私はある決断を下した。もう一度、その夢の場所を探し出すことに。そうすれば、何か手がかりが見つかるかもしれない。

長い旅の末、私はその場所を見つけ出した。そこは古い廃墟だった。そこには、かつて音楽を愛した人々が集まっていたという伝説があった。

廃墟の中で、私は奇妙な彫刻を見つけた。それは耳を塞いだ人間の形をしていた。その彫刻に触れた瞬間、私の中で何かが変わった。

音が、戻ってきたのだ。

しかし、それと同時に、私の耳には今まで聞こえなかった、不気味な声が聞こえ始めた。

(これが、私が求めた音の代償か...)

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