あらすじ
地元で語り継がれる実際にあった怖い話。ある夜、友人たちとキャンプをしていた時、不気味な出来事が連続して起こり始める。
本編
私たちがその話を初めて耳にしたのは、地元の古い喫茶店でのことだった。店の主人が「実際にあった怖い話」として語ってくれたのは、数年前の出来事。
「それじゃ、聞いてくれよ」
友人たちとキャンプをしていた夏の夜、彼らは不思議な体験をしたという。キャンプ場は山奥、携帯の電波も届かない場所。彼らはテントを張り、焚火を囲んで楽しんでいた。
夜が更けるにつれ、周りの森は静まり返り、闇が深まっていった。「ここ、何か気味が悪いな」と一人がつぶやいた。その時、彼らは遠くから女性の声を聞いた。
(誰かがいるのかな?)
声はだんだんと近づいてきたが、姿は見えない。声は悲痛で、何かを訴えているようだった。「助けて…」という言葉が聞こえる。
「誰かが困っているのかもしれない。見に行こう」と一人が提案したが、他の友人は恐怖で動けなかった。声はだんだんと遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。
その後、彼らは不安になり、その夜は早々にテントに入って寝ることにした。しかし、深夜、テントの外から「ガサガサ」という音が聞こえ始めた。
(何だろう?動物かな?)
勇気を出してテントの外を見ると、彼らは信じられないものを目の当たりにした。そこには、昼間見たはずのない古い井戸があった。そして、その井戸の周りをうろつく影。
彼らは恐怖で声も出せず、ただその影を見つめていた。やがて朝を迎え、彼らは急いでその場を離れた。
その後、地元の人たちにその話をしたところ、「あの山には昔から奇妙な話が多い。特に、あの井戸の周りは避けた方がいい」と言われたという。