あらすじ
毎晩寝る前に怖い話を楽しむ主人公が、ある夜、現実と虚構の境界が曖昧になり、恐怖に包まれる物語。
本編
夜の静寂が部屋を包み込む。時計の針が深夜0時を指す。私はいつものように、ベッドに入りスマートフォンを手に取る。寝る前の日課、怖い話の時間だ。
「今夜はどんな話を読もうかな…」そう考えながら、いつものサイトを開く。目に飛び込んできたのは「寝る前の怖い話」というタイトル。ちょっと皮肉だけど、気になる。クリックすると、画面が暗転し、文字が浮かび上がる。
「ある夜、私は寝る前に怖い話を読んでいた。すると、部屋の隅で何かが動いたような気がした。だけど、気のせいだろうと思い、読み続けた…」
(ん?これ、まるで今の私の状況と同じだね…)そう思いながら、話に夢中になる。しかし、不意に部屋の隅で何かが動く気配を感じた。
「気のせいだよね…」と自分に言い聞かせるが、心臓の鼓動は早くなるばかり。恐る恐る目を向けると、何もない。ただの影だ。
(話と現実がリンクしてる?まさか、そんな…)不安が頭をよぎる。スマホの画面に戻ると、話は続いていた。「私は恐怖で身動きが取れなくなった。すると、突然、部屋の電気が消えた…」
その瞬間、現実でも部屋の電気がパチッと音を立て消えた。真っ暗な部屋。息が詰まるような静けさ。そして、ふと、耳元でささやく声が…
「あなたも、怖い話が好きですか?」
声がした方向を振り返ると、そこには誰もいない。ただの暗闇。スマートフォンの画面だけが、僅かに周囲を照らしている。
(これは夢?現実?いや、まさか話が現実に?)混乱する心。しかし、スマホの画面を見ると、話はまだ続いている。「私は怖くて、誰かに助けを求めようとしたが、声が出なかった。そして、その時、ベッドの下から…」
急に、ベッドがギシリと音を立てる。恐怖で身体が硬直する。勇気を振り絞り、ベッドの下を覗き込むが、何もいない。安堵の息をつきながら、スマホの画面を見ると…
画面が真っ白になり、次の瞬間、電話が鳴り出した。番号は非表示。震える手で受話ボタンを押す。
「あなたの話、終わりです…」
その声と同時にスマホがシャットダウン。部屋には再び静寂が戻る。