公園

あらすじ

夜の公園を散歩するのが趣味の男が、一服の最中に不可解な物音に遭遇。それはただの夜の静けさではなかった。

本編

深夜、人気のない公園。夜の散歩が趣味の俺は、いつものように公園のベンチで一服していた。夜の静けさが、この時間のお気に入りだ。だが、今夜は何かが違った。

(何だろう、この違和感は...)

ふと、背後から物音が聞こえてきた。振り返っても、暗闇に飲まれた公園には誰もいない。ただの風の音かと思い、再びタバコに火をつけようとしたその瞬間――

「カサカサ...」

今度ははっきりと、足音とも取れる音が。俺は息をのみ、辺りを警戒する。だが、依然として誰の姿も見えない。

(気のせいか...?)

しかし、その音は徐々に俺の方へと近づいてくる。心臓の鼓動が速くなる。タバコの煙が霧のように広がり、不気味な雰囲気を醸し出していた。

「誰だ?」

勇気を出して声をかけるが、返事はない。ただ、音は止まることなく、今度は明らかに俺の周囲を囲むように動き始めた。

(まさか...)

恐怖で足が動かない。すると、ふと、公園の一角にぼんやりと人影が見えた。それは、人とも思える動きで、ゆっくりと俺に近づいてくる。

「ここにいるのは、君だけじゃないよ...」

声もなく、その人影は言葉を投げかけてきた。しかし、その声は耳には届かず、心の中で響いているようだった。俺は恐怖で凍りつきながら、その人影が徐々にはっきりと見えてくるのを見た。それは、かつてこの公園で命を落としたという噂の、青白い顔の男だった...

その瞬間、俺は恐怖で声も出ず、その場から走り出した。家に着くまでの間、振り返ることもできず、ただひたすらに走り続けた。

家に着いた後、俺は夜の公園を散歩することをやめた。しかし、あの夜の出来事は今でも鮮明に覚えている。公園には、俺以外にも「誰か」がいるのだと...

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