あらすじ
帰宅後にテレビをつけると、不可解な映像が流れ始める。日々その映像は現実とリンクしていく。
本編
僕は毎日のように遅くまで仕事をして、疲れ切って家に帰る。家に帰ると、とりあえずテレビをつけるのが日課だった。テレビから流れるバラエティ番組やニュースが、なんとなく寂しさを紛らわせてくれるからだ。
ある日、いつものようにテレビをつけた瞬間、画面に映し出されたのは、見慣れない映像だった。「これは何の番組だろう…?」と首をかしげながら見ていると、画面には暗い森の中を歩く一人の男性が映っていた。彼の後ろからは、何かがこっそりとついてくるような気配が感じられた。
「気のせいかな…」と思いつつも、次の日も同じ時間にテレビをつけると、また同じ映像が流れていた。しかし今度は、その男性が僕の住んでいる街の風景を背にしていた。「まさか…」と思うが、気になり続けた。
そして、その翌日。僕は仕事から疲れ果てて帰宅し、いつものようにテレビをつけた。すると、画面には信じられない光景が映っていた。それは、僕のアパートの前だった。画面の中で、あの男性が僕のアパートの入口に立っている。背後からは、暗闇に紛れる何者かの気配が…。
僕は恐怖に震えながらも、窓の外を見た。そこには誰もいない。ただの錯覚だと自分に言い聞かせ、深呼吸をする。しかし、テレビの画面は変わらず、今度はその男性がゆっくりとアパートの階段を上がってくる様子が映し出されていた。
(これは一体何なんだ…?)
その時、ドアのノックが響いた。テレビの音量を下げ、息を潜める。ノックの音は次第に強くなり、それはもはや扉を叩く音に変わっていた。
「開けてください…」という声が聞こえる。しかし、僕は動けなかった。テレビの画面は、今やその男性が僕の部屋のドアを叩いている様子を映し出していた。
ドアの叩き声はいったん止み、静寂が訪れる。僕はゆっくりとドアの方へ歩を進めた。そして、勇気を振り絞ってドアを開けたが、そこには誰もいなかった。ただ、床には一つの手紙が落ちていた。
手紙には「あなたの番です」とだけ書かれていた。
恐怖にかられた僕は、その場で気を失ってしまった。