インターホン

あらすじ

夜、一人でテレビを見ていた時、突然鳴るインターホン。しかし、外には誰もいない。不気味なインターホンの音が続く中、主人公は何者かの気配を感じ始める。

本編

夜の9時過ぎ、テレビのバラエティ番組に見入っていた。そんな時、インターホンが鳴った。「ん?こんな時間に誰?」カメラで玄関を見ると、そこには誰もいない。ただのいたずらかと思いつつ、ふと不安がよぎる。

再び座り、テレビに集中しようとするが、またインターホンが。今度も外には誰もいない。心臓が早鐘を打つ。「なんで?何が起きてるの?」不安が増す中、部屋の隅で何かが動いたような気がした。

(まさか...監視されてる?)恐怖で震える手で携帯を取り、警察に電話しようとするが、電話が繋がらない。「どうして...」パニックになりながらも、再度インターホンを確認。すると、カメラに映る玄関に、白い何かがチラリと映った。

息をのむ。それは人の顔に似ているが、どこか異様な形をしている。突然、インターホンのカメラがブチッと音を立てて切れた。「いや、嘘でしょ...?」部屋の中が急に寒くなり、息が白くなる。

ゆっくりと玄関に近づくと、ドアの向こうから小さな声が。「開けて...」不気味な声に凍りつく。「開けてよ...」声は徐々に大きくなり、ドアを叩く音が響き始めた。逃げようとするが、足が動かない。ドアを叩く音はさらに大きくなり、壁が震える。

「開けて...ここにいるよ...」その声はもう、まるで耳元で囁いているようだった。恐怖のあまり、意識が遠のく。その瞬間、ドアがゆっくりと開き冷たい風が部屋に吹き込む。しかし、ドアの向こうには何もいない。ただの暗闇だけが広がっている。「な、なんで?ここに...誰も...」言葉を震わせながら、ゆっくりとドアを閉める。

部屋に戻ると、テレビは静かに動いているが、その画面には何かがおかしい。画面に映るのは、まるで自分の部屋を撮影しているかのような映像。そして、その映像の中で、自分がドアに近づいていく。

「これは一体...?」画面に釘付けになるが、そこで異変に気づく。映像の中の自分が、何かに話しかけている。しかし、リアルの自分は、ただ画面を見つめているだけ。

恐怖で息が詰まる。画面の中の自分が、ゆっくりとこちらを向く。その顔は、なんとも言えない歪みを帯びていた。そして、画面の中から、ゆっくりと手を伸ばしてくる。

「いや...やめて!」画面から手が現実の世界に伸びてくるかのような錯覚に襲われる。バックステップで部屋を後ずさり、壁に背を預ける。息が荒くなり、目の前がぼやける。

その時、再びインターホンが鳴る。今度は、あの不気味な声ではなく、普通の男性の声。「警察です。大丈夫ですか?」

安堵の息をつきながら、ドアに向かう。警察官が立っている。彼に全てを話し、インターホンの異変やテレビの映像のことを説明する。しかし、警察官は困惑した表情を浮かべるだけだった。

警察官が去った後、何も起きなかったかのように静かな夜が戻る。だが、心の奥底には、あの恐怖がまだ残っていた。インターホンが鳴るたびに、あの夜のことがよみがえる。それは、ただの一夜の出来事ではなく、消えない恐怖として、今も私の中に残っている。

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