あらすじ
子供の頃、友達とのかくれんぼで行方不明になった友人。10年後、その記憶が蘇り、真実が明らかになる。
本編
昔、子供の頃、私たちはよくかくれんぼをしていた。あの日も、普段と変わらないはずだった。友達の一人、ユウキが隠れる番だった。しかし、彼はその日以来、見つかることはなかった。
「もう10年か…」
ふと、昔の記憶が頭をよぎる。ユウキが隠れた場所は、今はもう誰も行かない廃墟となっていた。
「ちょっと行ってみようかな…」
半信半疑で、私はその廃墟へと向かった。
廃墟は荒れ果て、時間の経過を感じさせる。そこには幼い頃の面影はなく、ただの廃屋だった。私は、ユウキが隠れたかもしれない場所を探し始める。
(ここかな…?)
奥の部屋に進むと、壁に何か文字が書かれていた。
「ここに隠れてるよ」
心臓が跳ねた。それはユウキの字だった。彼がここに隠れていた証拠だ。
「ユウキ、本当にここにいたのか…?」
壁をよく見ると、小さな扉があることに気づいた。開けてみると、狭い通路が続いていた。ユウキはここに隠れて、出られなくなったのだろうか。
通路を進むと、突然、声が聞こえた。
「見つけたよ」
声の主はユウキだった。彼は、まるで10年前のままの姿で、そこにいた。
「どうして…?」
ユウキは静かに微笑んだ。
「ずっとここで、君を待ってたんだ」
その瞬間、周りの景色が変わり、私は再び子供の頃のかくれんぼの場面に戻っていた。ユウキとのかくれんぼ。しかし、今度は私が隠れる番だった。