土曜日

あらすじ

毎週土曜日に訪れる行きつけの喫茶店。ある日、マスターが不可解な食材を調達しているのを目撃し、秘密が明らかになる。

本編

夜が深まる土曜日の街。いつものように、僕は行きつけの喫茶店「カフェ・ラルゴ」に足を運んでいた。店の雰囲気はレトロで、どこか懐かしさを感じさせる。マスターの作るコーヒーの味は格別で、これを楽しみに週末を迎えるのが僕の習慣だった。

しかし、この日は何かが違った。店の近くの路地で、マスターが何やら大きな袋を運んでいるのが見えた。「何をしているんだろう…」と思いつつ、僕は声をかけることなく店に入った。店内はいつもと変わらない穏やかな空気が流れていた。

「こんばんは」と僕が声をかけると、マスターはいつものように微笑んで「いらっしゃい」と応えた。しかし、彼の手は何かで汚れており、少し動揺しているようにも見えた。

(あの袋は一体…?)

コーヒーを飲みながら、先ほどの光景が頭から離れない。閉店間際、僕はついに尋ねた。「マスター、さっき外で大きな袋を…」

マスターは僕の言葉を遮るように、「ああ、それね。実は新しいメニューの食材を調達していたんだ」と言い、不自然な笑顔を浮かべた。

帰り際、何となく不安に駆られた僕は、店の外のゴミ箱を覗いてみることにした。そこで見つけたのは、血に染まった包装紙と、奇妙な形をした肉片だった。

(これは一体…?)

急いで家に戻り、インターネットで調べてみると、その肉片は普通の食材ではなく、珍しい動物のものだと分かった。さらにその肉は、特定の儀式で使われることもあるという。

翌週、僕は「カフェ・ラルゴ」に足を踏み入れる勇気が出なかった。あのマスターの微笑みが、今では恐ろしく思えてならない。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
怖い話
影山 真夜 (Kageyama Maya)をフォローする
怖話物語
タイトルとURLをコピーしました